(『貧困襲来』湯浅誠著から抜粋)
2005年に自公政権(小泉内閣)は、「生活保護の国庫負担を、4分の3から2分の1に減らす」と言い出しました。
あわてた自治体(全国市長会)は、国と交渉をし、「地方自治体も生活保護の締め付けに努力するから、国庫負担を維持してくれ」と要請しました。
そして、児童扶養手当を最大で半分まで削ることが決まってしまった。
「地方の生活保護の負担増は困る。代わりに児童扶養手当を減らすから」という事です。
2006年3月には、厚生労働省が『生活保護の適正化を求める手引き』を発表しました。
この手引きは、生活保護を停止・廃止させるためのマニュアルで、どうやって停止・廃止にもっていくかを詳しく書いている。
福祉事務所が生活保護受給者を訴えるための告訴状も、見本入りで解説しています。
2006年7月7日に、政府(小泉内閣)は『骨太の方針2006』で、生活保護の削減に言及しました。
そこでは、次の4つを具体例として提示しました。
① 居住用の不動産を持っている高齢者を、生活保護から外す
② 級地(生活保護の地域ごとの違い)を見直す
③ 多人数世帯の保護費を減らす
④ 母子加算を廃止する
(※母子加算は、15歳までの子供がいる場合は、生活保護費に1人につき2.3万円を加算する制度です)
この方針の発表後に、①を行うための「リバース・モーゲージ制度」の導入、4人以上の世帯での保護費の減額、④は3年かけて実施、と決定しました。
これまで母子家庭は、保護しなければならない対象でした。
しかし母子加算の廃止により、生活状態は変わらないのに、保護対象でなくなります。
(2014年7月24日に作成)
(『毎日新聞2013年5月5日』から抜粋)
生活保護の1つである「生活扶助」(2012年度の予算は1兆2900億円)が、2013年8月から3年かけて740億円、削減される。
特に子供のいる世帯で、減額幅が大きい。
長引く景気低速で、生活保護の受給者は2012年末に、215万人を超えて、過去最多となっている。
2012年の生活保護の予算は3.7兆円で、自民党は2012年の衆院選挙の公約で「原則1割カット」を掲げていた。
(※この選挙では自民党が勝ち、民主党から政権交代して、第二次・安倍政権が始まった。)
なお安倍政権は、消費税を2014年に8%、15年には10%へ上げる方針だ。
自民党が衆院選挙で生活保護費の削減を唱えたのは、民主党政権を「ばらまきの政策」と批判する意図もあった。
しかし自民党が政権をとり、生活保護費の削減を決めると、「弱者切り捨て」との批判が出てきた。
子育てについて、民主党は「社会全体で」と考えるが、自民党は「親に責任がある」と考える。
(2024年5月5日に作成)