タイトル貧困者を食い物にするビジネス②
ギャンブル ネットカフェ エム・クルー社のレストボックス

(『貧困襲来』湯浅誠著から抜粋)

③ ギャンブル

地方都市で立派な建物は、たいていはパチンコ屋です。

今やパチンコ業界は、30兆円市場とも言われており、アニメやマンガのキャラクターを採用して新型機械を投入しています。

ギャンブルをする理由を聞くと、「他にやる事が無い」という言葉が多いです。

人間関係などで貧困状態にある人が、ターゲットになっています。

④ ネットカフェ

かつては、定住場所のない日雇い労働者が泊まるのは、サウナかカプセルホテルでした。

しかしネットカフェが普及すると、そこで寝泊りする人が出始めた。

2000年頃から、若者の野宿者が増えてきました。

でも世の中では、まったくその存在は知られなかった。

状況が動いたのは、NHKスペシャル『ワーキングプア』の放送からです。

ワーキングプアが認知されて、人々の関心が向き始めました。

そして2006年11月に、朝日新聞の山内さんが『現住所ネットカフェ』という記事を書いて、ネットカフェ生活者が初めて認知されました。

2005年に私の所に相談に来た大野さんは、蒲田のネットカフェで一年半も生活していました。

毎晩、夜間パックが始まる夜11時にネットカフェに入って、机に突っ伏して寝ていたと言う。

ときどき「ネットカフェが快適になったから、そこに泊まる人が増えた」などと言われるが、完全な嘘です。

大野さんで印象的だったのは、「自分のせいだから仕方ない」と諦めていた事です。

「自分みたいな人間には、生きている価値は無い」と、彼は本気で言っていました。

⑤ エム・クルー社のレストボックス

エム・クルー社の運営する「レストボックス」は、客を安く泊めて仕事の斡旋もする施設です。

日雇い労働者に提供する低価格旅館を「ドヤ」と言うが、それが形を変えたものです。

私は、レストボックスに泊まってみました。

2段ベッドが6台ならぶ、12人部屋でした。

天井からは、小型液晶テレビ2台と監視カメラが吊り下げられていた。

他には、トイレ、キッチン、ボックスシャワーがありました。

レストボックスの位置づけは「寄宿舎」で、エム・クルーの「クルー(社員)」として労働に従事します。

仕事は登録制のアルバイト労働で、日給は8時間で7700円です。

交通費1000円などが引かれ、1泊1880円なので、手元に残るのは1日4320円です。

食事も自分持ちだから、ほとんどカネは残りません。

このシステムを「フリーターに朗報」などと言うのは、一体どういう了見なのでしょうか。

(2014.7.29.)


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