タイトル大阪市長(維新の会)の生活保護への敵視

(以下は『東京新聞 2018年7月17日』から抜粋)

大阪市の吉村市長は、元衆院議員で、2015年11月に大阪市長選挙で初当選した。

彼は、支援してもらった橋下徹・前市長の路線を受け継ぐと表明している。

吉村市長は2018年4月に、衆院・厚生労働委員会に参考人として招かれたが、こう発言した。

「大阪市は、全国の自治体の中で生活保護者の数が圧倒的に多い。

生活保護における市の当初予算は2823億円で、市の一般会計の15.9%を占める。看過できない。」

大阪市の生活保護の受給者は約14万4千人で、人口100人あたりの受給者数を示す保護率は5.3%だ。
全国平均の1.8%を大きく上回り、全国トップである。

受給者を支援する『全大阪生活と健康を守る会・連合会』の大口耕吉郎・会長は、こう解説する。

「吉村市長は2千億円以上を大阪市が負担しているかのように言うが、事実ではない。

保護費はいったん自治体が全額を出し、その後に国が国の負担分を自治体に支払うことになっている。

国は4分の3を負担するので、自治体の持ち出しは総額よりもずっと少ない。

吉村市長の言う2823億円は保護費の総額だ。
このうち市の負担額は、単純計算で約700億円になる。大阪市財政に占める割合は4%だ。

さらに市の負担分については、国から地方交付税が出るから、市が実際に持ち出しとして負担している額は61億円だけである。」

大口氏は、こう分析する。

「吉村市長の発言には、生活保護をお荷物扱いして、その額を少しでも減らしたいとの考えがある。

これは橋下・前市長から受け継がれた考え方だ。

生活保護を敵視する人たちの支持を集める狙いもあるだろう。」

本紙が吉村市長にこの件を質問したところ、市の福祉局総務課を通して回答があった。

大口氏の言うとおり、市の持ち出し額は年50億円から70億円だという。

大阪市では橋下前市長の時代から、生活保護の「適正化」として独自の政策を打ち出してきた。

2013年11月からは一部の区で、受給者に顔写真を載せた「確認カード」を持たせている。

これについて、「生活保護に負のイメージを背負わせ、受給を萎縮させる恐れがある」と批判が出ている。

2015年5月からは、保護費の一部をプリペイドカー ドで支給する事業を始めたが、これも批判された。
結局これは参加希望者が集まらず、2016年度からの本格実施は見送られた。

(2025年11月17日に作成)


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