(『貧困襲来』湯浅誠著から抜粋)
貧困者を食い物にする『貧困ビジネス』は、不利な条件が設定されており、いつまで経ってもそこから抜け出せなくなるはめになります。
貧困生活に陥ると、アクセスできるのは貧困ビジネスばかりになり、劣悪な条件に手を出さざるを得なくなる。
貧困ビジネスは、「グローバル競争に勝ち残るために必要だ」といって導入された、規制緩和が生み出したものです。
大抵の人は貧困を見ようとせず、「なんだかんだ言っても、本人が悪いんじゃない?」と考えて、そこで思考を止めてしまう。
行政は、貧困ビジネスの実態を十分に知っています。
知っていながら、しばしば協力関係を作っている。
ある人が福祉事務所に相談に行ったところ、「サラ金でも利用したらいかがですか?」と言われたという。
貧困ビジネスの側も、行政と協力関係を築くことで、社会的信用を得ている。
そしてマスコミは、行政や貧困ビジネス事業者の言う事を信用する。
呆れ果てる事態と言う他ありません。
母子家庭の母親や野宿者を劣悪な条件で働かせて、それを「自立支援」と言うのは、貧困ビジネスの世界に放り出しているにすぎません。
貧困ビジネスが公的セーフティネットに取って代わるという、悪夢のような事態が起きています。
(2014.7.30.)