(毎日新聞・月刊なるほドリ2014年9月号から抜粋)
日本企業の7割は、税金を納めていない。
法人税は、企業の儲けに掛かる税のため、赤字の企業は納める必要がない。
2012年度では、全国276万社のうち、200万社(73%)が法人税を納めなかった。
実は、儲かっていても(黒字になっていても)法人税を納めていない企業は、少なくない。
過去に赤字を出した場合、最長で9年間の繰り越しが出来る。
そのため黒字になっても、過去の赤字額をそこから差し引いて、納税額を減らしたりゼロに出来るのだ。
トヨタ自動車はこの制度を使っていたため、2014年3月期に6年ぶりで法人税を納めた。
リーマン・ショック後の赤字が大きかったため、そこからの5年間は法人税を納めなかったのである。
儲けが出ていても納税しなかった企業は、2012年度には76万社で、全体の28%もあった。
また、中小企業の中には、社員や役員になっている家族の報酬を増やしたり、設備投資に使う費用を多くして、儲けを減らすケースがある。
あえて赤字にして、税負担を軽くしている(脱税している)のだ。
アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国では、いずれも5割前後の企業は法人税を納めている。
過去の赤字で黒字額を減らせる金額を制限したり、設備投資で黒字を減らすのを抑えたりして、税務上の儲けを出しやすくしている。
日本の中央政府の2013年度の法人税収は、10.5兆円で、12年度の9.8兆円から増えた。
11年度の税制改定で法人税は4.5%の引き下げになり、その影響で税収は0.6兆円ほど目減りしているものの、景気回復で増収になった。
(2014年11月11日に作成)