私のYouTubeチャンネルに、「初夏のきらめき」という自作曲を発表しました。
中国風の伝統的なメロディ、それを私なりに日本的に解釈し、さらにアドリブする事でジャズっぽい雰囲気にした作品です。
詳しくは後述しますが、今まで一番良い音質に仕上がってます。
私のギターの持つ表情、私のギターの美味しい部分が、初めて表現されたなーと思ってます。
この動画になります。
今回は音量もバッチリなので、聴きやすいと思います。
どうでしょうか。
かなり聴きやすい音に仕上がっていると思いませんか。
演奏内容も、かつてないほど表情豊かです。
この音質になったのは、いくつか手を打った成果ですが、一番大きかったのはオーディオインターフェースをスタインバーグ社のUR22Cに替えた事です。
今まで使っていたプリソナス社のAudiobox iTwoと、それほど値段は変わらないのですが、替えたことでギターの表情が出てきて満足しています。
少しだけ歌も録ってみたのですが、それも音が濃くなって良くなってました。
私は、YouTubeに作品を発表した報告の日記をこのサイトに書くたびに、「音質に不満がある、納得がいなかい」とぼやいてました。
録音する時、「自分のギターや歌の表情や表現が録れてないな…」と、眉をしかめて苦悩する日々でした。
それがUR22Cを使って、不満がだいぶ解消されました。
正直なところ、UR22Cは2万円ほどの商品で、さらに上のグレードのオーディオインターフェースはいくらでもあります。
それを使えば、当然ながら音は良いでしょう。
私のギターの持つ美しさは、もっと正確に録れるはずです。
しかし、現状では6万円とか8万円のオーディオインターフェースを買う余裕がありません。
UR22Cの長所として謳われている、32bitで録音できるというのと、192khzまで対応しているという点に惹かれました。
「その数値は必要ない、24bitや48khzで十分だ」という意見が、現状ではDTMをやる人にも、プロの録音制作現場でも強いようです。
ただ私は、自分で音作りをしてみて、数値が上がるほど音が良くなると感じてました。
それでUR22Cが、数値(スペック)の点で優れているので、買ってみたのです。
結果として、24bitで96khzまでのAudiobox iTwoよりも音がだいぶ良くなったので、満足しています。
ちなみにAudiobox iTwoは、96khzまでの対応を謳ってますが、私が使う環境では96khzに設定すると大きなノイズが出て、まともに使えるのは48khzまででした。
今回の録音は、32bit、192khzに設定したのですが、問題なく録音できました。
で、音は今までで一番良いので、そのうちにこれが業界の主流になっていくと思います。
ただし、UR22Cは32bit整数で録音できるのがウリなのですが、これはDAWのほうが64bitフロートじゃないと最大の力が出せないそうです。
ネットで調べて知りました。
私の使うDAWは、スタジオワン5のアーティスト版で、32bitフロートまでなので、32bit整数の音の良さを活かしきれてないです。
スタジオワンのプロフェッショナル版は64bitフロートに対応しているので、逆に言うとさらに音を良くできる余地があるわけです。
プロフェッショナル版は、高いんですよね。
4万円以上するので、なかなか手が出ません。
今作「初夏のきらめき」は、32bit、192khzで作ったわけですが、完成してwavファイル(音楽ファイル)として書き出したところ、350MBという、なかなかのファイル量でした。
かなり重いので、きちんと再生されるか不安があったのですが、YouTubeにアップロードしたところ、きちんと再生されてますね。
それで音も良いので、バッチリ上手くいきました。
ちなみに、32bit、192khzというのは、「ハイレゾ」と呼ばれる高級オーディオで用いられるスペックです。
音質にこだわってDTMをやってきた私は、気付いたらハイレゾに片足を突っ込んでました。
なんとなくの予感ですが、私がさらに高音質を求めていくのは確実なので、そのうち1曲で1GBの世界に行く気がしてます。
本当にこれは、自己表現を極めたいという純粋な欲求の道で、誰もがそこを目指す必要はないです。
逆に言うと、10MBとかの音楽ファイルで、音が素晴らしかったら、すごい技術と努力の結晶ですね。
今まで音作り、録音をしてきて思うのは、「ノイズが取れていくと、音が良くなる」という事ですね。
私が初期にYouTubeに発表したギター演奏は、ギター音にノイズが乗りまくってます。
そういうノイジーな音が好きな人もいそうなので、最終的には好みの世界なんでしょうけど。
私の場合は、ノイズの少ない、生のギターが出す美しい響きを重視しているから、高スペックに向かってしまうわけです。
さて、ここからはオーディオ的な話ではなく、「初夏のきらめき」の話をします。
私は懐かしいメロディ、古くから日本にあるメロディを使って、それを現代的なジャズにしたかったのです。
で、やってみたところ、想像以上に難しかったです。
まず、日本の琴とかハープあたりをメロディや伴奏コードを奏でる楽器として使おうと考えていたのですが、スタジオワン・アーティスト版にはその音がありませんでした。
仕方がないので、オーボエとマリンバで代用しました。
この時点で、音のイメージがやや変わってきて、ポップスの匂いが強くなりました。
次に、この曲は6度と9度の音をたくさん使っているのですが、アドリブを始めたところ、やっぱりその音を入れないとしっくりきませんでした。
私が最初に持っていたイメージは、アドリブに入ったら元のメロディから離れて自由にギターを弾くものだったのですが、根が真面目なので自由にやって曲の雰囲気から離れることができず、アドリブのフレーズは奇抜さのないものに仕上がりました。
ここは本当に難しくて、アドリブでどこまで曲に添うか、添わないでとんがるかは、さじ加減が激ムズです。
ギターに続くオーボエのソロも、伝統的なメロディ・ラインを多用して、スムーズに流れるものにしました。
要するに、聴きやすいものに仕上がりました。
その一方で、ジャズというよりもポップスにだいぶ寄りましたね。
あとは、私は裏拍で乗っていくギター演奏に慣れているので、「初夏のきらめき」が持つ表拍で乗っていく曲調にギターで合わせるのに、少し時間がかかりました。
とはいえ、表拍で演奏したいからこの曲を作ったわけで、慣れたら楽しく出来ました。
でも細かく聴くと分かるんですけど、ギターは裏拍で乗ってる時がだいぶあります。
癖でそうしてしまうのです。
ギターの後のオーボエは、ずっと表拍で行くので、その違いがコントラストになっていて、かっこいいと思ってます。
細かい話ですが、ギター・ソロの途中で、ピックを替えたんですよ。
それで途中から少し音色が変わってます。
私としては、後半の落ち着いた音色のほうが良いと感じてますが、前半のほうが良いと感じる人もいるかもしれません。
今回のギター演奏で自分が気に入っているのは、チョーキングをした時に、可愛いセクシーな音に出来たことです。
私が敬愛するジャンゴ・ラインハルトのチョーキングに近づけたので、そこは誇らしく思ってます。
あとは全体を通して今までよりも自然なニュアンスで弾けてますが、これは弾き方を変えたのではなく、今まで拾えてなかった音をUR22Cが拾ってくれるようになっただけです。
本当はもっと美しい音で弾いているので、それが録音できて、皆さんに届けられたら最高なんですけどね。
最後になりますが、UR22Cで声の録音をしたらどうなるか知りたいし、久しぶりに一人語りの音声を録り、YouTubeにアップしようと思います。
そこで次回作の告知もします。