タイトル「セクシー田中さん」の作者が自殺した
日テレは会見すべき
(2024.1.30.)

マンガ家の芦原妃名子(あしはらひなこ)さんが自殺したとのニュースを見ました。

その理由は、日本テレビで放送された、彼女の作品『セクシー田中さん』のドラマ化に絡むものだという。

彼女が亡くなる直前に書いたツイート(心情を吐露した長文のもの)を読んだら、クリエイターの心意気が踏みにじられた苦悩が、ひしひしと伝わってきて、胸が苦しくなりました。

自分が作品に込めたメッセージが、尊重されず、あろうことかメッセージが変えられてしまう、そんな事になったら、クリエイターにとっては死と同じくらい辛い。

私もクリエイターの側面があるので、自作のメッセージが変質される危機となり、全力で阻止しようとあがき疲弊した芦原さんの姿は、遠い出来事と思えませんでした。

だから今日はこの件を取り上げて書きます。

なお私は、芦原妃名子さんのマンガもテレビドラマも見たことはありません。

今回、初めてこのようなマンガ家さんがいると知ったくらいですが、彼女が死ぬ前に書いたツイートを読んで、素晴らしいストーリーを書くマンガ家なのだろうなあと思いました。

単に娯楽作品を書くのではなく、自分の想いを作品に乗せる、そういう作家なのが感じ取れました。

亡くなられたのが残念でなりません。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

芦原さんがツイートした文章は、とても正直な響きがしたし、大切なことが書かれていると感じました。

しかしオリジナルのツイートは、現在では削除されたようです。

幸いなことに、いくつかの方がスクリーンショットしたようで、ネット上で見ることが出来ます。

私は、このツイートを読んで、この世から消滅させてはいけないと思いました。

なので、このページに要旨を書き残すことにします。

以下に芦原さんのツイートを記し、その後に私の感想も書きます。

〇芦原妃名子さんがX(ツイッター)に書いたこと(※要旨)

テレビドラマ「セクシー田中さん」について。

今回のドラマ化で、私が9話と10話の脚本を書くに至った経緯を、小学館と相談した上でお伝えします。

私のブログにも同じものを掲載しましたが、10年も放置しているブログで訪問者もおらず、Xで新たにアカウントを作り、転載します。

事実を丁寧に伝えたいので、長文になります。
ご了承ください。

尚、この文章は書くにあたり、小学館と連絡して時系列と事実を確認し、内容も小学館と確認しています。

私と小学館は、ドラマの放送が終了するまで、脚本家と会うことはなく、監督や演出家といったスタッフと会う機会もありませんでした。

「セクシー田中さん」は、自己肯定感の低さで生きづらい人たちに、優しく寄り添う作品です。

私が担当編集者と共に大切に書いてきたマンガです。

ドラマ化の話をいただき、初めの数話のプロットや脚本をチェックした上で、2023年6月にドラマ化に同意し、同年10月からの放送と決まりました。

このマンガは未完(連載中)だし、結末を決めていないので、ドラマ化にあたり、「原作に忠実なこと」と、「忠実でない場合は私が加筆・修正すること」を条件としました。

他にも、結末はドラマのオリジナルなものになりますが、「ドラマの結末は、私があらすじからセリフまで用意すること」、「結末は私の書いたものをそのまま脚本化すること、場合によっては私が脚本を書くこと」も条件としました。

上の条件は、テレビドラマの脚本家や監督にとって失礼なものと理解していたので、「この条件で良いのか」と日本テレビには何度も確認しました。

日テレが了承したので、ドラマ化を決めたのです。

ところが制作が始まると、毎回、マンガとは大きく異なるプロットや脚本が、日テレから提出されました。

ストーリーやキャラクターが、原作のマンガから大きくかけ離れていました。

私が作品の核として大切に描いたシーンは、大幅にカットされ、その理由を尋ねても納得のいく返事はありませんでした。

「枠にはまったキャラクターに変えないでほしい。私の作品の個性が消されるくらいならば、ドラマ化をやめたい。」とまで、何度も訴えました。

私は交渉して、粘りに粘りって加筆・修正に持ち込み、やっとの思いで1~7話をほぼ原作通りのものにしました。

ドラマの制作スタッフとは、前述の通り会う機会はなく、私たちと連絡するのは番組プロデューサーの方々だけでした。

プロデューサーや日テレが、私の出した条件を脚本家や演出家に伝えていたのかは分かりません。

私は、日テレと事前に決めておいた『ドラマ化の条件』が守られないので、疑問を抱えながら加筆・修正をする日々となりました。

そのために相当疲弊してしまいました。

私があらすじやセリフを用意することになっていた、ドラマ終盤のオリジナルな展開の回、8~10話も、約束は守られませんでした。

私が準備して提出したものが、大幅に改変された脚本となって返ってきました。

私は、「約束通りに、とにかく一度、私の用意したあらすじとセリフをそのまま脚本化してほしい」と伝えました。

しかし日本テレビは、その後も大幅に改変したプロットや脚本を出してきました。

このため、小学館が「当初の約束通りにしてほしい」と、日テレに脚本を戻すことがくり返されました。

ドラマのチーフプロデューサーが、「一度は原作者の出したままで脚本化するように」と指示したとも聞きましたが、結局は何も進展せず、4週間も過ぎてしまいました。

制作スケジュールの期限が迫り、なんとか8話だけは、改変前の内容に修正して日テレに渡しました。

そして9話と10話は、それまでの脚本家(※相沢友子)は関わらない事になり、私が書くことになりました。

脚本家としては素人の私が書いたので、力不足が露呈することとなり、反省しきりです。

脚本の作業は、マンガの締め切りとも重なり、短い時間しか割けず、9~10話に不満をもたれた視聴者もいると思います。

心よりお詫びします。

最後に、ドラマに出演した役者さんや制作スタッフに、深く感謝します。

「セクシー田中さん」のマンガとドラマを愛してくれた視聴者と読者にも、深く感謝します。

〇上のツイートを読んでの感想

とにかく日テレの態度が悪いです。

約束を破りまくったのが、経緯から分かります。

芦原さんの文章は、小学館も確認していると書いてあり、小学館も凄く腹を立てているのでこの告発的な内容をOKしたのではないでしょうか。

芦原さんは自分の作品に強い思い入れがあることが、ツイート文の要旨を書いていて伝わってきました。

日テレ側は、そんな作者の想いを考慮することなく、単なる金儲けの道具として使い、自分のいいように扱おうとした。

そこで芦原さんが傷つき、心身の疲弊が限界に達して、死に至ったのではないかと思えます。

自分が想いを込めて作るものは、どんな作品でもこだわりや、譲れない一線があると思います。

それはクリエイターなら皆が持つ感覚でしょう。

それが分からない、金だけを追う大企業。
今回は日テレですが、その冷血さや無知ぶりが、芦原さんを追いつめてしまった。

日テレは、記者会見を開かなければならないです。

釈明会見になると思いますが、人が1人死んでいるのだから、開かずに逃げるのは許されないと思います。

マンガや本が原作で、テレビドラマ化されるのはよくあるし、2度と同じ事がくり返されないためにも、この事件の全容を明らかにする必要があります。

このエントリーをはてなブックマークに追加


NEXT【次のページ】に進む

BACK【前のページ】に戻る

目次【日記 2024年1~6月】 目次に戻る

目次【日記 トップペ-ジ】に行く

home【サイトのトップページ】に行く