『グレート・リセット』クラウス・シュワブ&
ティエリ・マルレ著の抜粋③
グローバリゼーションの後退
(2022.4.24.)

『グレート・リセット』クラウス・シュワブ&ティエリ・マルレ著の抜粋を書くシリーズ、その第3回目です。

今回は、「グローバリゼーションの後退」を書いた部分をまとめました。

なお『グレート・リセット』は、2020年6月に書かれ、同年7月に出版された本です。

最後に私の感想を述べます。

〇『グレート・リセット』クラウス・シュワブ&ティエリ・マルレ著から抜粋

グローバリゼーションとは、国と国との間で、物やサービスや人や資本が行き交うことを指す。

グローバリゼーションの推進派は、勢いを失いつつある。

グローバリゼーションへの反発が強まり、金融のグローバル化のリスクは2008年の世界金融危機の後にますます鮮明になってきた。

私たちは、コロナ・パンデミックがグローバリゼーションを後退させると考えている。

コロナ流行で国境の管理が厳しくなり、保護主義が強まった。

ハーバード大学のダニ・ロドリック教授は、「グローバリゼーション、民主主義、国家主義の3つは、互いに相容れないもので、常にこのうち2つしか共存できない」と説いている。

民主主義と国家主義は、グローバリゼーションが封じられた場合にのみ両立できる。

国家主義とグローバリゼーションが強まれば、民主主義は維持できない。

民主主義とグローバリゼーションが強まれば、国家は居場所がなくなる。

ロドリック教授の説では、国家主義と民主主義を選べば、グローバリゼーションは諦めねばならない。

イギリスのEU離脱や、保護主義を掲げたトランプ大統領の当選は、グローバリゼーションを選ばないことを示した出来事だ。

グローバリゼーションで不平等が高まる時、人々がグローバリゼーションを拒絶するのは合理的な選択だ。

脱グローバリゼーションの象徴が、グローバル・サプライチェーンの弱体化だ。

とはいえ、このプロセスには多額の投資が必要だ。

例えばアメリカは、国内で使う抗生物質の97%を中国から輸入しているが、これを変えるには国内で多額の投資をして工場を造る必要がある。

いま起きているのは、「地域化」である。

EU(欧州連合)やRCEP(東アジアの包括的な経済連携)は代表例だ。

2019年にアメリカと中国が貿易戦争を始めると、アメリカの対中貿易は減り、カナダ、メキシコという隣国との貿易が増えた。

中国も同様に、ASEAN(東南アジア諸国連合)との貿易が増えた。

つまり地域内での自給自足という形で、脱グローバリゼーションが進みつつある。

この状況を多国籍企業は懸念しているが、各国は無視して貿易や投資に、より多くの障壁を作るだろう。

だから企業は、重要な部品を海外に依存しなくなり、グローバルな貿易はほぼ確実に縮小する。

国際的な資本の流れを、各国の政府と国民が抑制するようになる。

外国資本による企業買収を防ぐ規制の導入もあるだろう。

外国への投資に条件をつけることも考えられ、現に2020年4月にアメリカ政府は公的年金基金が中国株に投資するのを禁じた。

ぐずぐずしている時間はない。
グローバリゼーションの正統性を高めなければ、世界はやがて私たち(世界経済フォーラム)が管理不能になる。

いまの世界は、国際社会を主導する国が存在しない時代に入った。

グローバル・ガバナンス(ある国が他の国々をリードする状態)は機能しなくなり、グローバルな問題に不十分にしか取り組めない。

グローバル・ガバナンスの枠組みの中で、世界各国が力を合わせてコロナ・パンデミックと「戦争」するべきだった。

だが各国は、ばらばらの取り組みをした。

アメリカにいたっては、WHOの分担金の停止に踏み切り、WHOからの脱退も表明した。

だがWHOは好ましい組織で、ビル・ゲイツも「世界はいま、これまで以上にWHOを必要としている」とツイートしている。

(※ビル・ゲイツはWHOへの大口投資家で、ワクチン・ビジネスを世界展開している。彼はアメリカ政府に次ぐ多額のカネをWHOに提供しており、WHOを動かしている人と言える。)

米中の対立が、問題視されている。

アメリカが勝つと言う者、中国が勝つと言う者、勝者はいないと言う者がいる。

米中の競争が激化するのは間違いないだろう。

グローバリゼーションというモデルは、安い労働力と商品を求める多国籍企業が構築したものだが、その限界が明らかになった。

コロナ・パンデミックの後は、企業は安全な供給を選ぶことになる。

具体的には、コストをかけて在庫を抱えたり、予備の設備を造ることを迫られる。

供給や通商での混乱がいつでも発生しうるからだ。

このパンデミックが終わると、企業は政府から以前よりも大きな干渉を受けることになる。

(※この理由は、『グレート・リセット』の抜粋②に出てきます)

パンデミック後の早い時期に、政府の強制力をもって現れることを概説する。

まず西側諸国で採用される全ての景気刺激策には、公的資金の借り手に制約を課す条項が含められる。

従業員の解雇や、自社株の買い戻し、役員賞与の支払いに、制限が付けられる。

各国政府は、安すぎる法人税や、高すぎる役員報酬に厳しい姿勢で臨むだろう。

パンデミック後は、最低賃金の引き上げが中心的な課題となる。

企業への規制は徹底的に強化され、企業が納める税金は増える。

ギグ・ワーカーに依存している企業は、健康保険などの福利厚生を整備した契約をするように、政府から圧力がかかる。

多くの課題の中でも重要なのは、気候変動である。

地球環境や社会に配慮することは、企業の中核戦略に取り込まれるだろう。

従業員を大切にしない企業は、投資家と社会活動家の怒りを招いて、代償を払うことになる。

ブラックロック(世界最大の投資会社)のレポートでは、環境・社会・ガバナンスの評価が高い企業が、パンデミックの中で同業他社を上回るパフォーマンスをしている。

ブラックロックは、ステークホルダー資本主義を順守する企業はレジリエンス(回復力)が高い傾向にあると言う。

パンデミック後は、社会活動家たちがこのトレンドを強化するだろう。

コロナ・パンデミックが終息したら、コロナ禍の間に各企業がどう振舞ったかを、人々は精査するはずだ。

過去10年にアメリカの航空会社は、自社株買いにキャッシュ・フロー(カネの流れ)の96%を費やした。

また2020年3月に格安航空会社のイージージェットは、株主に1億7400万ポンドの配当を支払った。

いま航空会社はコロナで苦境にあるが、上の事実を忘れる人はいないだろう。

航空会社はパンデミックの前には、会社員の出張が売上の50%を占めていた。

こうした収益構造も変化すると予想される。

航空業界に依存する、空港、飛行機、レンタカーの業種も、厳しい状況だ。

レンタカー会社のハーツは、2020年5月に破産申請した。

コロナ・パンデミックで、労働争議も急増している。

パンデミックの中でも仕事に出掛けざるを得ない、低賃金の労働者たちは、ストライキやデモを次々に行っている。

〇村本尚立のコメント

今回に語られることは、前回(『グレート・リセット』の抜粋②)の話の続きと言えます。

グローバリゼーションという、大金持ちや多国籍企業が王者になれる構造が、崩壊しつつある事への危機感が、文面から滲み出てます。

日本に居ると実感が湧きづらいのですが、世界全体では反グローバリゼーションとか、多国籍企業に搾取される人々の怒りが、もの凄いレベルになり、その活動も活発なのでしょう。

世界経済フォーラムが、防戦一方なのが感じ取れます。

日本だと、社会活動家が変人と見られ、バカにされる感すらありますが、世界を見ると至るところで市民の活動が展開され、それが支持されています。

今回のコロナ流行でも、ワクチンの強制に反対するとか、ワクチン・パスポートに反対するとかの、デモ活動が世界各国で行われてきました。

この平和的な良識あるデモを、日本のマスメディアは過激派の暴動みたいに報じてましたが、偏向報道そのものでした。

現在では、ワクチンもパスポートも下火になり、廃止の方向にきているから、活動家たちが勝利したと言えるでしょう。

前回にも書きましたが、「デモなどの社会運動は世の中を変えられない」という人が日本にはかなり居ますが、そんな事はないのです。

かえって世界経済フォーラムみたいな組織のほうが、市民活動がどれだけの力を発揮するかを認識していますね。


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