『世界バレー2014』という、バレーボール界の3大大会の1つが、先月末から開催されています。
私はちっとも知らなかったのですが、この大会はバレーボール界にとっては、オリンピックよりも参加国の多い重要な大会です。
とても驚いたのですが、大会は20日にも渡って行われ、リーグ戦が3回も行われた上でようやく準決勝に進みます。
バレーボールの大会でこれほど長期戦のものがあるとは思わなかったですね。
世界バレーは以前にも何度も観た事があるのですが、当時は長期戦でなかったのか、私に大会の詳細への関心がなかったのか、普通の大会としか認識していませんでした。
私は日本女子代表に期待・注目しているので、彼女達の試合をTV観戦していきました。
(注目した経緯については『バレーボールの日本代表・女子の4試合を観た、その感想』に書きました)
結果的には、日本は2次リーグで敗退し、7位でした。
世界ランキングは3位なので、あまり良い結果ではなかったと言えるでしょう。
ちなみにこの大会は、勝ち点を積み重ねていくシステムになっており(勝ち点がリーグ戦をまたいで持ち越される)、フルセットにまでもつれ込むと勝ち点が1つ減るようになっています。
(通常の勝ち点は3で、フルセットになってから勝つと勝ち点は2になる)
このシステムは、とても良いと思います。
大会を通して白熱する、緊張感を生む勝ち点システムですね。
ここからは、女子代表の試合を観戦しその中で感じた事を、書いていきます。
今大会では、最初から驚愕の展開でした。
日本の初戦はアゼルバイジャンとの試合だったのですが、「アゼルバイジャン? バレーボールでは聞いたことがないなあ。日本だったら楽勝で勝つだろ。」と思い、私は観戦しなかったのです。
(アゼルバイジャンの世界ランクは、調べたところ37位です)
そして、翌日の対ベルギー戦の時間に、余裕しゃくしゃくでTVをつけました。
初戦は何の問題もなく日本が圧勝していると、100%信じていました。
すると何と!
「日本が前日のアゼルバイジャン戦で負けた」というのです。
「おい! どうしたんだよ!」と、TVの前でずっこけましたよ。
監督も選手達も動揺を隠せず、試合直前なのに、顔は青ざめており悲壮感が漂っています。
「日本人の悪い癖(期待されるとプレッシャーで潰れてしまう)が出たか…」と、困ってしまいました。
こんな事なら初戦から観ておけばよかった、と思いましたねー。
観ていないので敗因も分からず、日本代表がどういう状況なのかも分かりません。
「初戦では相手のブロックにやられた」「初戦の惨敗により、今日はメンバーが大幅に変わった」と、アナウンサーと解説の方は言っていました。
結局のところ、初戦ではプレッシャーから実力を出し切れなかったのだと思います。
色々なスポーツの日本代表戦をみると、よくお目にかかる光景です。
期待されると、ほんと駄目になるんだよなー。
しばらく前のサッカーW杯での男子代表もそうだったし。
かなり心配したのですが、ベルギー戦は何とか勝ちました。
でも結果的には、アゼルバイジャン戦に負けた事が、2次リーグで敗退する事に繋がりました。
アゼルバイジャンに予想外で負けたため、「この分じゃあ何処と試合しても、負ける可能性があるぞ」と思い直し、全試合をきちんと観る事にしました。
そうしたところ、日本はどの相手とも激戦を繰り広げて、1試合として楽に勝つものはありませんでした。
冷汗をかく瞬間が多く、競り負けて後味の悪い試合もあり、先日の『FIVBワールドグランプリ2014』での戦いとは大きく異なる内容でした。
『FIVBワールドグランプリ2014』では、選手達が躍動し、攻撃的な状態を貫いて、先手先手をとっていましたが、あれはホームアドバンテージが大きかったのでしょうか。
(この大会は日本で行われました)
今回の『世界バレー2014』の観戦を通して、今の女子代表についてかなり理解が進みました。
選手たちについては、一通り特徴を把握しましたよ。
ここからは、観戦していて感じた事を、具体的に書いていきましょう。
まず攻撃面(スパイク)で思ったのは、『日本は背が小さいし、パワーでも劣るのだから、もっと頭を使うプレイをしなければいけない』です。
日本が好調な時間帯は、トスを上手く散らして、相手にブロックをさせない時です。
(セッターがトスを賢く散らすと、相手はどこにトスするかが読めなくなり、ブロックの的を絞れなくなるので、ブロックは薄くなります)
相手のブロックが1枚や1枚半(相手の1人がきちんと跳べない状態)だと、日本はかなりの確率でスパイクを決められます。
逆に言うと、相手が2枚のブロックをしっかりとした場合、日本のスパイク決定率はいちじるしく下がります。
日本は他の国に比べて平均身長が低く、もともと不利な状況にあります。
だから、正攻法でやりあっては勝てないです。
相手の意表をつく攻撃や、相手のブロッカーに的を絞らせない工夫が、もっと必要です。
木村さん(エース)に頼る展開になると、彼女にマークが集中して、日本は厳しくなります。
現在の代表で、木村さんに次ぐ存在は(エースになれる可能性のある存在は)、長岡さん、江畑さん、迫田さん、です。
この3人が好調だと、いい循環になるんですよ。
トスを分散して配球でき、相手のブロックを薄くできます。
今大会では、江畑さんの出来が良くなかったです。
ベルギー戦では大活躍しましたが、その後は不調が続き、それが日本が苦戦する要因の1つになっていました。
彼女は、スタミナが物足りないです。
良いスパイク技術を持っているのですが、疲れると回復が遅いし、疲れてくるとスパイクとレシーブのフォームが崩れてしまうのです。
フォームが崩れるため、疲労が出ると一気にパフォーマンスが落ちてしまいます。
江畑さんに安定感が出れば、かなり楽になるんですけどねー。
持久力をつけてほしいです。
迫田さんは、素晴らしいバックアタックを持っていますね!
彼女については、私は今までは存在を知らず、今大会での大きな発見でした。
彼女は、『バックアタックをメインにする』という、変り種です。
前衛にいるのにバックアタックをあえてする人を、初めて見ましたよ。
迫田さんの良い点は、思い切りよく打ちきる事です。
ブロックが来ても逃げないのです。
スパイクを決めた時にみせる過剰なくらいのアクションも、最高ですね。
思いっきり味方選手にハイタッチをするのですが、手が痛くなるレベルの強烈さなのです。
「痛くなるんじゃないか?」というためらいを一切見せない純真な気迫を、私は高く買いますよ。
長岡さんは、順調に成長していると思います。
マークされても決められるようになってきていますね。
彼女はサーブが苦手なのですが、それも少しづつ改善されています。
長岡さんは、木村さんに並ぶエースになれる最右翼だと思います。
だから、もっともっと成長してほしいです。
木村、江畑、迫田、長岡の4人がスパイク(アタック)の中心ですが、それ以外にも石井さん、山口さん、大野さんはそれなりに決定力があります。
石井さんは、『FIVBワールドグランプリ2014』ではバンバンとスパイクを決めていましたが、今大会では出番が少なく、決定力も低かったです。
成長すればかなりのアタッカーになれると思うんですけどねー。
山口さんと大野さんは、クイック攻撃を得意にしていますね。
特に山口さんは、トスが乱れてもクイックを成功させる技術を持っており、尊敬します。
クイック攻撃は、トスがずれると厳しいんですよ。
ジャンプした状態で速いボールが来るのに対応するので、トスがずれたら空中で姿勢を崩しながら合わせなければならないからです。
トスに乱れがあっても、ネットにかからずにきちんと打ち返せる山口さんは、凄いなあと思います。
この方々の他に、高田さんが終盤戦でかなりスパイクを決めていました。
高田さんは、サーブ要員として出てくるのにサーブをしょっちゅう外すので、「おいおい~、それはないだろ~」と食傷ぎみだったのですが、大いに見直しました。
ドミニカ戦では大活躍し、神が降臨したのかと思ったくらいです。
高いブロックが2枚来ているのに、決めきる高田さんを見ていたら、「今までのサーブミスは許そう」と思えてきました。
彼女は、おでこが広々としていて、それが実に良い形をしています。
加えて目が細いので、どことなく仏像チックです。福相をしております。
このように、スパイクを打てる人が沢山いるのだから、トスを散らす工夫がもっと必要ですよ。
それに、攻撃のさらなる多様化が必要です。
山口さんと大野さん以外にも、積極的にクイック攻撃をさせると良いです。
あと、迫田さん以外もバックアタックを仕掛けたほうがいいです。
『FIVBワールドグランプリ2014』では、長岡さんが積極的にバックアタックをしていました。
あれは非常に効いていましたよ。
とにかく、様々な攻撃を繰り出して、相手に的を絞らせない事が大切です。
多彩な攻撃にする1つの方法として、セッターの「ツーアタック(トスの代わりにスパイクを打つ)」を積極的に使うのが有効だと思います。
宮下さんは身長があるので、もっとツーアタックをしていくと良いです。
私の経験だと、ツーアタックというのは成功するしないに関わらず相手を混乱させられるし、成功すれば相手の心を折る事ができます。
これで決められると、普通にスパイクを決められるよりも「やられた感」が強いです。
ガクッときてしまうんですよね。
まだまだ指摘する事がありますが、長くなったので2回に分ける事にします。
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