しばらく前に、パナマで税逃れ(脱税)を助けている法律事務所の、数十年に及ぶ内部文書が、一般公開されました。
この文書群は、『パナマ文書』と命名されて、タックスヘイブンを使った脱税を解明する資料となっています。
私は、「現在の地球で最も深刻な問題の1つは、タックスヘイブンを使った脱税である」と思っています。
だから、世界情勢の勉強のページに、タックスヘイブンについて勉強する専用ページを設けています。
勉強しているから分かるのですが、パナマ文書で発覚した脱税は、世界で起きている脱税のほんの1部です。
パナマは、世界各地にあるタックスヘイブンの1つに過ぎません。
そしてパナマ文書は、同国に無数にある脱税仲介の会社のうち、たった1つの法律事務所の書類にすぎないのです。
今回の情報公開で明らかになる脱税は、世界全体で起きているものの千分の一ほどだと、私は見ています。
報道の中で、「世界でタックスヘイブンを利用した資産は3500兆円ある」と述べられてましたが、誇張でもなんでもないと思うし、「もっと多くても不思議ではない」と思ってます。
パナマ文書では、『様々な国の指導層が、密かに資産をタックスヘイブンに移していること』が明らかになりました。
『多国籍企業や富裕層が資産を移して、租税回避をしていること』も明らかになった。
この事は、少し専門知識がある人なら、以前から分かっていました。
私は確信していますが、日本の政治家や経営者にも、タックスヘイブンを使っている人がかなりいるでしょう。
世界の富裕層にとっては、タックスヘイブンを使うこと(そこで資産運用すること)は、常識なのです。
金持ちになればなるほど、税金を納めなくていいシステムが、地球では成立してしまっている。
だからこそ、世界全体で貧富の格差が縮まらない。
この不公正な状況を変えるには、世界全体で税制・税率を統一して、税率がゼロに近い「異常な場所」を根絶しなければなりません。
私はすでに、それを提案として記事にしています。
世間で囁かれている話の1つに、「世界の権力者たちは皆がグルである。表では対立しているように見せているが、裏では繋がっているお仲間である。」というのがあります。
この話を、多くの人は陰謀論として、検証せずに斥けてしまう。
だが、タックスヘイブンを見れば、表では対立している勢力が仲良く資産を預けていたりする。
アメリカとロシアや、日本と中国の富裕層が、同じ所にカネを預けていたりする。
そして、こうした特権を持つ人々は、普通の人が入手できない情報を共有しています。
富裕層のコミュニティを通じて、情報を交換し合っているからです。
これを考えると、「世界の権力者たちは、裏では繋がっている」というのは、ある程度までは真実だと認めるしかない。
そもそも多国籍企業は、客(相手)を選ばずに商売をしています。
儲かるとなれば、どの陣営にも(どの国にも)商品を売る。兵器だって売る。
そして、多国籍企業を支配している株主は、ごく1部の人々で、中には本人や家族が政治家だったりもする。
私達は、安易に国の指導者や大企業の経営者を信じてはならない。
裏側にどんな人脈があるのか、わかったもんじゃないからです。
『裏側がどうなっているのか』と、常に気を付けて観察しましょう。
国の指導者は、支持されるために必ず「愛国者のふり」をする。
企業の経営者と株主は、支持されるために必ず「善人のふり」をする。
日本の首相である安倍晋三は、「私は愛国者だ」と連呼している。
だが、本当にそうなのだろうか?
TPPへの参加を推進しながら、TPPの交渉過程を記した文書を黒塗りで国会に提出し、詳細を全く明らかにしない安倍政権。
「この協定で得をするのは、多国籍企業だ」というのは、もはや皆が知っている。
そんなものを、国民に説明することを放棄して成立させようとする安倍は、愛国者なのだろうか?
パナマ文書は、『愛国者ぶる指導者のほとんどが、私欲にはしる偽善者だ』と教えてくれました。
私達は、この教えに耳を傾けて、もっと賢くなる必要があります。