ここ20年くらいの間は、税金については、『消費税』を上げてそれで税収増をはかる事が、トレンドになっています。
消費税は、今の日本でさかんに唱えられているように、「貧しい人ほど負担が重くなる不公平さ」「景気に大きな悪影響を与える」といった負の側面があります。
私は、『消費税は、人々の幸福には繋がらない(公平な社会には繋がらない)徴税システム』だと考えています。
欠陥が指摘される消費税が、なぜこれほど普及・拡大してきているのでしょうか。
私は長い間、納得できる理由を知りませんでした。
多くの人があれこれと説明していましたが、どれも私の心には響かなかったのです。
それが、2ヵ月ほど前にユーチューブで、二宮厚美さんの「アベノミクス デタラメに飛ぶ3本の毒矢」と「財政赤字の真実」を見て、これまで持っていた税制への疑問が氷解しました。
二宮さんの話は、本当にすばらしい内容なので、私はノートに要約をとり、このウェブサイトにアップしました。
特に「財政赤字の真実」は、それを基本にしてこの文章を書いているので、ぜひ見て下さい。
私は二宮さんの話を聞いて、次の真実を悟りました。
『消費税が徴税の中心になってきたのは、グローバル化によって、富裕層と大企業が「税金の低い地域や国(タックス・ヘイブン)」に逃げてしまったからだ。
タックス・ヘイブンの大流行(脱税システムの完成)により、それまで税の中心だった所得税と法人税が機能しなくなってしまった。
そこで仕方なく、消費税が生まれてきたのである。』
本来は、「所得税で富裕層から税金を取り」「法人税で大企業から税金を取る」はずなのです。
そうやって所得の再分配を行い、貧困を無くしたり、社会の公平さ(機会の均等)をはかるのが、現代社会の仕組みです。
それがグローバル化の進展により、富裕層は、税金の低い国に国籍を移したり、移住したり、口座を移してしまった。
また、大企業は税金の低い国に進出して、そこで事業を拡大するようになってしまった。
要するに、合法ではありますが、世界的に『脱税』が横行する状態になっています。
その結果、所得税と法人税は機能しなくなってしまったのです。
そして、世界中で貧富の格差が進行しています。
この機能不全を補うために、「消費税の拡大」と「所得税と法人税の減税」が進められています。
主に新自由主義者がこれを主張しており、日本でもかなりの人が唱えています。
「この2つをしないと、グローバル化から取り残される」というのが、正当化の根拠になっています。
しかし、よく考えてみましょう。
この対応策は、「税金を取ることと、現状に迎合すること」を優先しているものであり、「社会の公正さ」を実現しようとするものではありません。
あくまで、現状への『対症療法』です。
根本的な解決法ではありません。
維新の会の顧問になっている堺屋太一さんは、「消費税が上がったら景気が悪化するので、法人税や株式配当税を下げて景気対策をしよう」と主張しています。
これは、新自由主義者の代表的な考え方です。
この主張をよく見れば分かるとおり、彼らは財政再建をしようとしているのではなく、『庶民の税金を上げて、その分を富裕層の減税に回そうとしている』のです。
(ちなみに法人税は、現在の日本では7割の企業が払っていません。
それ自体もどうかと思います。
法人税を払っているのは、大企業が中心です。)
世界には、「英領のケイマン諸島」や「スイス」といった、『タックス・ヘイブン(租税の回避地で、税金がゼロに等しい地域)』が沢山あります。
ラスベガスやマカオといったカジノ地区も、タックス・ヘイブンに(不当な利益の洗浄地に)なっています。
現在の地球では、金持ちになればなるほど、これらの税金逃れをできる場所を使って、脱税を行えるようになっています。
私はタックス・ヘイブンについては勉強を始めたばかりですが、今読んでいる本には、「世界の所得の25%は、タックス・ヘイブンを使って脱税されている」と書かれています。
この25%は、ごく一部の大金持ちが占めているわけであり、ほとんど税率は0です。
(※2014.4.13.に追記
タックス・ヘイブンの勉強は順調に進んでおり、それについては『世界情勢の勉強→脱税のページ』に書いています。ぜひ見て下さい。)
今のアメリカでは、「1%の人が、富の50%を握っている」と言われ、貧富の格差が大問題になっています。
あまり知られていませんが、こうした状況は他の多くの国々でも同じです。
この背景には、『大掛かりな(世界を股にした)、合法となっている脱税の氾濫』があります。
大金持ちが脱税を継続的にしてきた結果、ここまでの富の不平等が起きてしまったのです。
日本は、そういう点ではかなりマシですが、現在の安倍内閣はアメリカと同じ方向を打ち出しているので、注意が必要です。
本当に解決しなければならないのは、この様なふざけた状況です。
では、この世界の現状を改善するには、どうしたらいいのでしょうか。
私は、『世界全体で、所得税と法人税を同じ税率にすること』がベストの解決策だと思います。
これは、私の知る限りでは、今の世界では誰も言っていません。
しかし考えてみるならば、現在では、金融や貿易や軍事では、『世界共通の枠組み作り』がどんどんと進んでいます。
こうした分野で協調ができるのならば、税金の分野でも世界的な協調ができるはずです。
私のこの文章を読む人は、「あんた、誰も言わないとんでもない事を言っているなー」と思うかもしれません。
しかし、歴史の流れを見るならば、世界の国々が話し合って共通のシステムを創り、共存をはかるのは必然の流れです。
国連、WTO、IMF、ユーロ圏などは、それを示しています。
現在の世界では、タックス・ヘイブンが存在しているために、金持ちになるほど(大企業になるほど)自国を離れて、税の安い場所でお金を運用・貯蓄していきます。
そのために、所得税と法人税が機能しなくなり、「所得税と法人税を低くしよう。そうしないと世界から取り残される。その代わりに、消費税を上げていこう」との意見が、のさばっています。
しかし、この方向で社会を変えていっても、社会は良くはなりません。
まず行う事は、これらのタックス・ヘイブンを壊滅させるために、共通の税率を世界レベルで決める事です。
具体的には、所得税と法人税は共に、
①『最高税率は、30%に設定する』
(他の値でもいいですが、30%くらいが適当かと)
②『共通の累進課税の枠組みにする』
と決断して、それを破る国や地域には罰則を科すことです。
そのためには、国際的な脱税摘発の組織も必要でしょう。
私は「累進課税の方式」は非常に優れていると思います。
世界全体でこれを共有して、一律の累進課税率を設定すれば、平等・公平な税金のシステムが出来ます。
累進課税については、「所得が多い人ほど税金を取られるのは、不公平だ。人間のやる気をそぐ」と言う人がいます。
しかし、この意見を受け入れると、結局は貧富の格差は解消せず、弱者は切り捨てられてしまいます。
『神との対話』では、「所得の違いや能力の違いは、優劣があるからではなく、機会の差があったにすぎない」と説いています。
また、「機会を活かさない人は確かに居るが、そういう人に何度も機会を与える事こそ、愛である」とも説きます。
私は、この考え方に、非常に説得力を感じています。
世界全体で協調して、同じ税率を設定すれば、どんな金持ちも脱税が出来なくなり、世界の国々の税収は一気に上がります。
これをきちんと行えば、おそらく税収は現在の倍にはなるでしょう。
私は、それくらいの脱税が今は行われていると見ます。
ロシアみたいに、所得税が10%などという国では、一気に税収が上がるのは間違いありません。
私は、世界が協調してタックス・ヘイブンを(脱税を)絶滅させれば、所得税と法人税の最高税率が30%、かつ消費税が0%でも、充分に財政が成立すると考えます。
私のここまでの話は、革新的すぎてなかなか理解してもらえない気がします。
現在の地球では、所得税と法人税の「減税合戦」が行われていますから。
でも冷静に考えれば、私の提案はしごく当然の主張であり、「コロンブスの卵」と一緒で、実現して普及すれば誰もが「当然だろう」と思うはずです。
『何が人々の幸福に繋がるか(より多くの人の幸福に繋がるか)』
これを考えれば、私の提案に説得力を感じてもらえるはずです。