(『図解新エネルギー早わかり』から)
スマートグリッドとは、『賢い電力システム』という意味です。
「情報通信技術を活用して、電力システムの運用を先進化しよう」という考え方を指します。
スマートグリッドの導入によって、消費者と電力会社の間にコミュニケーションを確立し、両者がメリットを享受できる事を目指します。
日本でのスマートグリッドは、経済産業省が中心となって行っています。
日本でのスマートグリッド導入の目的は、太陽光発電の大量導入によって生じる、「電力システム上の三つの課題」を解決する事です。
日本は太陽光発電を、2020年に2800万kW、2030年に5300万kW、導入することを政府は計画しています。
この様な大量の太陽光発電を導入すると、「余剰電力」「周波数の変動」「電圧の上昇」の三つの問題が発生します。
この三つの課題を解決するために、「出力の抑制」「蓄電池の導入」「電圧調整機器の設置」が検討されています。
スマートグリッドは、低コストに抑えられることが出来る技術を選定する事が大切です。
(『電力供給が一番わかる』から)
アメリカでは、停電時間が日本の20倍以上で、停電被害額が高額となっています。
そこで2008年頃から、スマートグリッド(賢い送電網)が注目され出しました。
日本では、送配電網と一緒に光ファイバーやマイクロ波(無線)の通信網を張り巡らして、センサーを組み込んで、トラブルを自動検知するシステムが出来上がっています。
これにより、停電からの復旧が非常に速い。
停電の問題は、日本では解決されています。
日本でのスマートグリッド(賢い送電網)は、『太陽光や風力の膨大な発電量が接続されても、同時同量が確保でき、周波数の揺らぎが発生しないようにする事』です。
このためには、送電網の作り替えや、蓄電池の導入が必要です。
風力発電は、電力消費の少ない深夜でも昼と同様に発電します。
そのため、電力会社は火力発電を下げて対処する必要があります。
この時に下げて対処できる容量を、「下げしろ」と言います。
現在の日本は下げしろが小さくて、大規模な風力発電を受容できるようになっていません。
そのため、接続する風力発電を制限しています。
すなわち、風力発電に意欲のある事業者がいても、事業を始められません。
日本の送配電網を作り替えることを、政府は2011年夏に基本方針としました。
○村本のコメント
周波数の変動の問題については、「電気の周波数の問題」のページを見れば理解できます。
送電網の改善は、絶対に必要です。
これは政治・行政の指導力が大事です。よろしくお願いします。
(2012年10月4日に作成)