つい先日に、衆院選挙の1票の格差について違憲判決が出て、さらに「先の衆院選挙の無効判決」も出されました。
この事について、「今まで司法は、行政・立法の下風にあって、自分の意見をはっきりとは打ち出さなかったが、初めて独自の意見をしっかりと述べた。非常に画期的だ。」と論評している人がいました。
私も、まったく同じ意見です。
「よくやったぞ、司法界!」と思います。
報道ステーションに出た弁護士の方は、「1票の格差が2倍以上もあるなんて、異常です。アメリカの下院選挙では、まったく格差はありません。」と言っていました。
私たち日本人は、何となく1票の格差があるのを当たり前に感じてしまっていますが、冷静に考えるととんでもない事ですね。
格差があったら、国民の意思が政治に正確に反映されないのですから。
司法が(国民が)はっきりとダメ出しをしているのに、どうも政治家たちは迷走ぎみで、『定数削減による格差の是正』について、しっかりとした解答を出せそうにありません。
そこで、私なりの意見・提案をしたいと思います。
まず、『小選挙区と比例代表のどちらを減らすのか』という問題があります。
これは、その人の考え方・価値観によって答えは変わってくる問題なのですが、『比例代表の方が民意を反映させやすいシステムなので、小選挙区を減らすのが良い』と私は考えます。
小選挙区制は、「死票」がとても多く出る制度です。
得票が1位になった人以外に入れた票は(2位以下の人への票は)、全部が無視されてしまうシステムです。
つまり、『1位の人が一人勝ちするシステム』なのです。
先の衆院選挙では自民党が大勝しましたが、小選挙区での当選が多く、比例代表ではそこまでの勝利ではありませんでした。
小選挙区制はシステムとして、第1党が大きく議席を得るようになっていますが、1つの党が強くなりすぎるのは考えものだと思います。
もともと、小選挙区制を日本に導入しようとした人々には、「金権政治や決められない政治を解消させよう。そのためには、アメリカを真似て二大政党が政治を独占するシステムにしよう。」との思想がありました。
この考えは、『二大政党制を理想とする』『アメリカ政治を、最も進んだ政治システムと考えて理想とする』というのが、前提になっていました。
しかし、今のアメリカを見ると一目瞭然ですが、「二大政党制=進んだ政治システム」ではないですし、アメリカこそ決められない政治になっています。
私は、決められる政治(前に進んでいける政治)というのは、強い政党が出ることで生まれるのではなく、『各党が他党に敬意を持って接し、調和して政治に取り組むことで生まれる』ものだと思うのです。
ここのところを、多くの人が勘違いしていると思います。
日本のような「皆の話し合いや同意を重視する社会」では、比例代表制の方が向いている(国民が納得できる)と思います。
「比例代表制だと、小さい党が乱立して政治が機能しない」と言う人がいますが、様々な意見や価値観を持つ党が乱立するくらいで、ちょうどいいと思います。
様々な価値観の党がいることが、日本らしい状態だと思います。
今の日本政治の問題は、「政党がたくさんあること」ではなく、「各政党が自分の主張や利害ばかりを重視して、他党と調和しようとしないこと」だと、私は確信しています。
議員定数を削減するならば、小選挙区を削減するのが良いと思います。
それが、日本人が納得できる選挙システムに近づく道だと思います。
1票の格差を無くすために、小選挙区の大幅な区割りをし直すのは、もはや当然の事だと思います。
自民党は、大幅な区割りをすると選挙対策などで大変だから躊躇していますが、与党としてあまりにも無責任だと思いますよ。
だいたい、野田政権が改革案を提示した時に「違憲の可能性がある」と言って自民党は反対したのに、与党になったら同じ様な改革案を出すなんて、あんまりです。
野田さんは今、キレているのではないでしょうか。
もともと、比例代表には「1票の格差」というものがありません。
格差を減らそうと思うならば、比例代表を重視するのが筋ですよ。
私個人としては、完全に比例代表のみにしてもいいと思っています。
実際にそうしている国もかなりあります。
ただ、いきなり比例代表のみにするのは変化が急激すぎるので、とりあえず小選挙区を50削減するのがまとまりやすいと考えました。
そして記事タイトルにて『小選挙区を50減らして完全に区割りをし直せばいいと思います』と提案しました。
ちなみに韓国では比例代表の候補者は、「半数を女性にして、男性と女性がリストで順番になるように」決められています。
このシステムは、女性を政界に進出させる方法として、非常に優れていると思います。
日本にも導入する事を、私は提案いたします。
議員定数の削減は、議員の歳費を削減するため(議員にかかるお金を削減するため)のようですが、本当に歳費削減をするのならば、『政党や選挙のあり方を変えて歳費を削減する方がいい』と私は考えます。
企業献金について見ると、不正や汚職の温床なのに、いまだに根絶できていません。
本来は「政党助成金」をもらっているのだから、企業献金も個人献金も完全に廃絶していいと思います。
インターネットによる選挙活動が解禁になりますし、そろそろ本気で「金のかからない選挙」を実現させましょうよ。
選挙をクリーンで金のかからないものにすれば、必然的に政党の出費は減り、歳費の削減に繋がります。
そうなれば、政党助成金をもっと減額できるでしょう。
とりあえず、「選挙カーによる、候補者の名前の連呼」だけは、廃止にしてもらえませんか。
あれは、近所迷惑の極みです。
あんな事で、本当に票を取れると思っているのでしょうか?
思っているとしたら、時代錯誤がすぎます。
新聞の1ページを全て使った、大々的な政党の広告も、要らないと思います。
ああいうのを見ると、私の場合は「税金(政党助成金)をこんな事に使うなんて、最低の党だな」と、むしろ悪印象を持ちますけどねー。