タイトル芸術表現を、もっと愛に溢れたものにしませんか
(2012.7.29.)

私の母親がここ2年ほど、韓国ドラマにはまっています。

私は見ないのですが、テレビのある部屋を通るたびに、母が見ているので目に入ってきます。

韓国ドラマは、暴力描写の場面がとても多く、しょっちゅう殴り合いやリンチが出てきます。
(まあ、ドラマの内容にもよりますが)

画面から負のエネルギーを感じる事が、多いです。
(韓国を批判しているわけではありません。誤解しないで下さいね。)

正直な話、以前だったら何とも思いませんでした。

TVドラマで何が行われていようと、「それはフィクションであり、どうでもいい事だ」と考えていたからです。

しかし、様々な本を読み、『思考や感情が、自分の人生にとって重要である』と分かってからは、感じ方(考え方)が変わりました。

「なぜこんなにも、人間にとってマイナスになる表現を(暴力、嫉妬、裏切り、恨み、などを)TVドラマは描くのだろう。

こんなものを見ていたら(接していたら)、寿命が縮まったり、健康を害したりするだろうに。」

と思うようになったのです。

私が不思議なのは、『道を歩いていて、殴りあいやリンチが行われているのを目撃したら、誰でも不快になり、良くない事だと思うのに、なぜTVドラマだと楽しめるのか』という事です。

TVドラマを見るのも一つの体験だし、そう認識しているから見るわけでしょう?

だったら、愛に溢れた内容のものを見た方が、楽しいのではないでしょうか。

この事は、TVドラマに限った事ではありません。

映画、舞台、文学、音楽など、芸術的なもののすべてに当てはまります。

もちろん、「たくさんの悲劇を経るから、最後のハッピーエンドが輝く」という演出上の事情もあるのは、理解できます。

しかし実際は、「暴力を描くと、簡単に受け手に刺激を与えられる」という、安易な作り手の発想が大きいのではないかと、私は思います。

「愛や平和の世界を描いても、退屈なだけだ」と考えている作り手も多そうですが、完全に誤解です。

もし退屈なら、それは愛や平和を描いたからではなく、単純に作品がつまらないのです。

特に子供向けの作品は、沢山の愛を描いてほしいです。

男の子向けのヒーローものは、「悪者がいて、それを倒す」のが普通ですが、私は改善の余地があると思います。

私自身、子供の頃は、ウルトラマンや仮面ライダーが大好きでした。

よく見ましたが、怪獣やショッカーの下っ端たちがヒーローにボコボコにされるのは、私には違和感があり、かわいそうだとも思っていました。

今、冷静に振り返ると、これらの作品にはかっこ良さは感じても、愛は感じていませんでした。

子供時代を振り返って「愛を感じていたなー」と思うテレビ番組は、
『ジャングル大帝』『ニルスの不思議な旅』『アルプスの少女ハイジ』『ひょっこりひょうたん島』『アニメ日本昔ばなし』です。

(上記の5つは、私が5~10歳くらいにTV放映していました。当時の作品のうち、私が愛を強く感じた作品になります。)

NHKの教育番組の、『それいけノンタック』と『ノッポさん』からも、愛を感じました。

こういった作品をリバイバルさせるか、新たに作るかを、ぜひして下さい。

この様な、温かい気持ちや優しい気持ちになれる作品が、今は少ないです。

今から思うと、上記の作品たちは、子供向けなのに手を抜いた感じが一切なく、クオリティがとても高かったですね。

「良い作品をつくってやる」との想いが、画面から感じ取れましたよ。

カネの臭いがしなかったのも、特徴だったと思います。

商業主義の臭いがしないので、爽やかな気分で見られました。

TVアニメや特撮ヒーローものでは、グッズを売ろうとする大人の魂胆が見える作品もあります。

その場合、私はやや引いていました。

小学生に入る頃になると、そういった作品の裏側にある大人の商魂まで、子供は感じるようになります。

番組の間に入るCMでは、番組キャラクターに関連した商品を、露骨に宣伝しまくる事が多い。
おもちゃメーカーが主導するアニメでは、特にその傾向が強いです。

こうしたCMに対しては、小学2年くらいまでは心が動かされ、「おおっ!欲しい。」と思いました。

でも、それより年齢が上がると、企業のむき出しの欲望に辟易し、「金儲けばかり考えやがって。うざいCMだな、さっさと終われ。」と感じましたね。

子供向けではありませんでしたが、TVドラマの『探偵物語』からも、見ていたのは5歳頃だと思いますが、愛を感じました。

大人になってから再び見ましたが、松田優作が演じる主人公の工藤ちゃんは、実に愛に溢れた人です。

この作品は社会派のドラマであり、なかなか複雑なテーマを扱っていて、工藤ちゃんも単純な分かり易いキャラとは一味違います。

でも、工藤ちゃんの本質的な優しさは、子供ながらにきちんと認識していました。

5歳の時点でそういったことを感じていたというのは、驚きです。

人間は本能的に(魂のレベルで)、愛を感じるものなのですね。

芸術に携わる人は、もっと愛を沢山、ダイレクトに表現して下さい。

だって、愛を表現するために(受け手を幸福にするために)、活動しているのでしょう?


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